普通自動車運転免許を取得したばかりの人が表示する「初心者マーク」。これは正式には「初心運転者標識」と呼ばれ、初心者ドライバーであることを周囲に知らせる目的で車に貼るものです。
しかし、SNSやインターネットの口コミの中には「初心者マークを窓ガラスに貼るのは違反になる」といった声が見られます。では実際のところ、窓に初心者マークを貼ることは法律に違反するのでしょうか。
この記事では、初心者マークの正しい取り付け方や、違反とされるケース、罰則について詳しく解説します。初心者ドライバーの方や保護者の方にとって、役立つ情報となるはずです。
初心者マークとはどんな標識か
初心者マークの正式名称と対象者
初心者マークは道路交通法に定められており、正式には「初心運転者標識」と呼ばれます。対象となるのは普通自動車の免許を取得してから1年未満の運転者です。
この標識を車両の前後に表示することが義務づけられており、表示しなかった場合は違反となることがあります。初心者マークは四つ葉のクローバーのような形をしており、黄色と緑の配色が特徴です。
初心者マークを表示する理由
このマークを表示する目的は、周囲の車両や歩行者に対して「この車を運転している人はまだ運転経験が浅い」という情報を伝えることにあります。周囲がその情報を知っていれば、不慣れな動きがあっても寛容な対応が期待できます。
また、周囲の運転者が無理な割り込みや過度なプレッシャーをかけることを避ける効果もあります。
窓ガラスに初心者マークを貼るのは違反なのか
窓に貼る行為そのものは道路交通法違反ではない
実際のところ、初心者マークを車の窓ガラスに貼ったこと自体が、直接「道路交通法違反」になるわけではありません。初心者マークの設置場所に関する詳細な規定は、道路交通法施行規則第9条に記載されています。
この規則では、「自動車の前面および後面の見やすい位置に表示すること」と定められています。つまり、ボディの前後に他車から見やすい位置に貼ることが求められているのです。
問題となるのは、フロントガラスやリアガラスにマグネットタイプの初心者マークを貼ることによって視界を妨げる場合や、保安基準に抵触する場合です。
フロントガラスやリアガラスの視界を妨げると違反に該当
自動車の安全基準を定めている「道路運送車両の保安基準」によれば、運転者の視界を妨げる物をフロントガラスやリアガラスに取り付けることは禁止されています。
初心者マークが視界の中央付近に貼られていたり、リヤウィンドウに広く貼られていた場合には、これが保安基準違反と判断されることがあります。この場合、整備不良車両と見なされ、違反点数の加算や反則金が科される可能性も出てきます。
また、視界を遮るだけでなく、リアガラスが着色されていたり熱線が入っている車両では、マグネットがうまく機能しなかったり、剥がれたりするおそれもあります。これも危険な状態です。
正しい初心者マークの貼り方
磁石タイプを金属部分に貼るのが基本
初心者マークの基本的な貼り方は、磁石式でボディの前後の金属部分に貼り付けることです。フロントはボンネットまたはグリル付近、リアはトランクやバックドアの金属部に取り付けます。
この方法なら外からもはっきり見えるうえ、視界を妨げることがありません。位置としては左右対称である必要はありませんが、周囲の車が一目で分かる位置にすることが求められます。
窓ガラスに貼る場合は吸盤タイプが一般的だが注意が必要
どうしても金属部分に取り付けられない車両、たとえば一部の軽自動車やバックドアがガラス製の場合などは、吸盤タイプの初心者マークを使用して窓に貼るケースもあります。
その場合、貼る位置に注意が必要です。運転席からの視界を妨げず、ミラーの死角にならず、他車からも見やすい場所を選びましょう。フロントガラスの上部やサイドガラスに貼る場合も、ワイパーの可動範囲や運転手の視線と干渉しない位置である必要があります。
貼り方に不安がある場合は、販売店や整備士に相談することも一つの方法です。
初心者マークを表示しない場合の罰則
初心者マークの表示は義務であり、免許取得から1年未満の運転者が表示しない場合は、道路交通法違反となります。
具体的には、初心運転者標識表示義務違反に該当し、反則金として普通車で4000円、違反点数として1点が科されます。意図的に外していたり、忘れていた場合も対象となるため、注意が必要です。
また、初心者マークを表示していたとしても、それが外れかけていたり、見えにくい場所に取り付けられていた場合は、同様に違反と判断される可能性があります。
他の運転者が初心者マークの車に嫌がらせ行為をした場合
初心者マークへの妨害行為は法律違反となる
初心者マークを表示している車に対して、あおり運転や幅寄せ、急な追越しなどの妨害行為を行った場合、それは「初心運転者標識表示車両妨害等違反」という違反に該当します。
これは道路交通法第71条によって禁止されており、違反点数は25点、一発で免許取消しの対象になる重大な違反です。法律は初心者ドライバーの安全を守るためにも厳しく定められているのです。
トラブルに巻き込まれた場合の対処法
もしも運転中に妨害運転や嫌がらせを受けたと感じた場合は、車を停めて直接対応しようとせず、最寄りの警察や110番に通報しましょう。また、ドライブレコーダーの映像を残しておくことで、証拠として活用できます。
初心者であっても、違反行為を受けたときは毅然とした対応を取り、安全を最優先に行動することが大切です。
まとめ
初心者マークは、運転免許を取得してから1年未満の人にとって表示が義務づけられている標識です。窓ガラスに貼ること自体が即違反とは限りませんが、視界を妨げるような貼り方や保安基準に違反する貼り方をすると、結果的に整備不良と判断されて違反となる可能性があります。
基本的には、車両のボディの前後にマグネットで取り付けるのが望ましく、ガラスに貼る場合は視界や安全性に配慮した貼り方を心がける必要があります。
初心者マークの目的は、周囲に自身の運転経験の少なさを知らせることにあり、安全運転を促進するための大切な存在です。正しく取り付け、安全運転を意識して、安心して道路を走行しましょう。